Wasteland → Wasteland Remastered
この比較では、まず同名シリーズの別作品を取り違えないことが重要です。1988年の初代『Wasteland』はDOS時代の見下ろし型RPGで、2020年の『Wasteland Remastered』は初代を対象にした更新版です。タイトルの似た『Wasteland 3』は別の続編であり、画像資料にも混同が起きやすいため、前半は初代のEGA画面、後半は公式Remasteredギャラリーや個別レビュー画像へ統一。本文では物理ストーリーブック、選択の痕跡、操作環境がどう置き換わるかを中心に扱います。
Remasteredの価値は、初代の荒廃世界や選択中心の冒険を別の物語へ置き換えることではなく、紙の段落本をゲーム内に取り込み、グラフィック・音・操作性を更新して再訪しやすくしたことにあります。特に、旧版では画面と冊子を往復して得ていた物語情報が、後発版ではイラストと音声付きで画面内に統合されます。これは外見以上の導線変更ですが、初代固有の古典的な進行感まで消す全面再設計ではありません。
目次
確認したい差分へ移動できます
比較する版と系譜
比較する各版の位置づけを整理
Wasteland(1988年、Interplay制作・Electronic Arts発売。比較画像はPC DOS/EGA版)
Wasteland Remastered(2020年2月25日発売、inXile Entertainment/Krome Studios制作。Windows/Xbox One)
この比較から見えること
項目を並べるだけでなく、変更の意味を独自に整理
段落参照とNPCの雇用が見せる初代の情報設計
初代Wastelandでは、会話や状況の手掛かりを読み取り、必要に応じて紙の段落本を参照しながら荒野を進みます。EGA画面に記録された段落参照やNPCの雇用場面は、探索が戦闘だけでなく情報の収集と仲間の編成で成り立つことを示しています。人質との対峙のような局面でも、目の前の敵を倒すだけでなく、状況を読み、誰を仲間に加え、どう進むかを考える余地があります。Remasteredが物理ストーリーブックの内容をゲーム内に取り込んだ点は、この作品特有の「画面外の文章と画面内の冒険を往復する」遊びを現代の環境へ移す変更として見ることができます。
物理段落本をゲーム内へ移したことが、最も独自性の高い変更
初代の特徴的な仕組みは、ゲーム内テキストだけで完結せず、物理ストーリーブックの番号付き段落も物語の一部として参照することです。Remasteredはその冊子をイラスト付き・フルボイスでゲーム内に収めました。単に読む場所を紙から画面へ移しただけではなく、探索の流れを中断して冊子を探す手間をなくし、文章を音と絵で受け取れるようにしています。ただし段落を参照する発想そのものは旧作の仕組みを引き継ぐため、物語構造を新規に作り直したと誤解しないのが重要です。
画面の更新は探索情報を増やすが、古典RPGの判断を消さない
EGAの初代画面は色数と文字窓が限られるため、町・人物・危険区域の見分けを文章やコマンドで補います。Remasteredは絵を大幅に更新し、地形や登場人物を視覚的に把握しやすくしました。一方、公式が挙げる品質改善は現代的なCRPGの自動誘導へ全面移行したことを意味しません。どこを調べ、誰に話し、どの行動を選ぶかという読解と判断はなお中心です。したがって、グラフィックが綺麗になったから探索の難度まで一律に下がったと結論づけるのは適切ではありません。
NPCとの関係や選択の痕跡は初代の核として残る
初代の魅力は戦闘の勝敗だけでなく、荒野で得た情報をもとに人を雇い、助けるか対立するかを決め、その結果が後の状況へつながるところにあります。Remasteredの公式商品説明も、選択が世界を形作る初代の設計を保持するとしています。この比較では追加された新規クエスト量を推定せず、設定・世界の反応という旧作の設計がどのように提示し直されたかを評価します。既知の物語を最新の表現で遊びたい人には移行理由になりますが、新章や続編規模の物語追加を求める人には期待値の調整が必要です。
コントローラー対応はルール変更より入力負担への対応
Remasteredではコントローラー対応が公式に案内されています。これはキーボード中心だったDOS時代に比べて、現代PCや家庭用環境で手に取りやすくする変更です。ただし、コマンド選択を基盤にしたRPGの読み方や、画面の情報を確認してから行動する手順を一掃するわけではありません。入力デバイスの選択肢が増えたことと、ゲームのテンポや判断構造がアクションRPGのように変わったことは別です。遊びやすさの改善を過大に言わず、どの層の負担を軽減したのかを限定して評価します。
不具合修正と快適化は、旧版の設計を保つための補修
開発元は長く残っていたバグの修正とQoL改善を挙げています。古い不具合をそのまま残すことが必ずしも「忠実」ではなく、ルールの意図を壊していた問題を直すことで本来の冒険を遊びやすくする面があります。一方、快適化が何をどれだけ変えたかは機能名ごとに確認が必要で、全ての摩擦が除かれたと一括りにできません。比較の要点は、不便さのすべてを当時らしさとして保存したのではなく、アクセス性を上げつつ初代の世界と選択を中心に据えたことです。
見た目の評価はEGA画面と現代アートの目的差で考える
初代DOS/EGA画面は少ない色と粗い輪郭のなかで、敵や地形をプレイヤーが補完する余地を残します。Remasteredは風景と人物を描き直し、荒野の情景を直接見せる方向へ進みました。これは同じ場面の精細版というだけでなく、情報を文字と想像で埋める比率から、視覚・音声で具体化する比率への移動です。旧画面を支持する理由も単なる懐古ではなく、想像の余地とテンポにあります。どちらが良いかは解像度ではなく、プレイヤーが情報をどう受け取りたいかで決めるべきです。
どちらを選ぶかは冊子との往復か、統合された再訪か
初代は紙の段落本やDOS環境を含む歴史的な構成を体験したい人に向きます。Remasteredは同じ冒険を現代の画面・音・コントローラーで追いたい人に向きます。ただし後発版でも古典RPGの手探り感やパーティー管理が根本からなくなるわけではなく、現代作品と同じ案内密度を求める人には合わない可能性があります。したがって選択基準は「新しい方なら何でも快適」ではなく、段落本の外部参照という個性を残したいか、同じ情報を一つの画面に統合して再訪したいかです。
公開資料画像|8点
画像の版と出典を分けて表示

出典ページに掲載された公開資料の参考画像を8点整理しています。原作側・後発版側の同一場面を保証するペア画像ではなく、同一機種・同一撮影条件の画質テストでもありません。版の対応や変更点は、本文と各出典ページを優先して確認してください。
仕様比較|18項目
各版の違いを項目ごとに一覧で確認
比較表では各版の仕様を並べ、プレイ体験に関わる違いを本文で解説しています。項目の前提や例外は、あわせて掲載した参照先もご確認ください。
スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 比較項目 | 原作側 | 後発版側 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 比較対象 | 1988年のシリーズ初代。ここではPC DOS/EGA版を画像・仕様の基準にする。 | 同じ初代を2020年に更新したWasteland Remastered。 | 続編Wasteland 3とは別作品 |
| 発売時期 | 1988年に登場。 | 2020年2月25日発売。 | 32年後の更新版 |
| 世界設定 | 核戦争後のアメリカ南西部を舞台に、Desert Rangersが調査を進める。 | 初代の世界・主人公組織を保ち、シリーズの始まりを再訪できる。 | 世界設定の継承が中心 |
| 画面構成 | テキスト窓とコマンド群、EGAの限られた色数で状況を伝える。 | 背景・人物・UIを大幅に更新した表示。 | 表示密度と絵作りが大きく変化 |
| 段落本 | 物理冊子の段落を参照し、文章情報をゲーム画面の外にも配置。 | 元の物理ストーリーブックをイラスト付き・フルボイスでゲーム内に収録。 | 物語の参照導線を画面内へ統合 |
| パーティー運用 | 複数レンジャーを管理し、状況に応じて編成・命令を使う。 | チーム運用と探索の骨格を引き継ぐ。 | 古典的なパーティー管理が軸 |
| コマンド選択 | USE、ORDER、VIEWなどのテキスト中心コマンドで状況に介入。 | 画面・操作を現代化しつつ、旧作のコマンド型の考え方を残す。 | 操作の入口は改善、判断の型は継承 |
| 探索の情報 | 場所・人物・文章の手掛かりをプレイヤーが読み解く。 | 同じ冒険の情報をより鮮明な画面・音声で提示。 | 情報の提示方法が更新 |
| 選択の帰結 | NPCとの対応や行動選択が世界の進み方に影響する構成。 | Steam説明は選択が世界を形作る初代の設計を保持すると説明。 | 物語の核は置換ではなく継承 |
| グラフィック | EGA画面では地形や人物を記号的な色・輪郭で表す。 | inXileは完全にオーバーホールしたグラフィックと説明。 | 高精細化にとどまらない表示更新 |
| 音楽 | 発売当時の音響環境を前提にした演出。 | 更新された音と拡張された楽曲スコアを公式が案内。 | 音も再制作の対象 |
| 音声 | 段落本は紙で読む形式。 | ゲーム内のストーリーブックにフルボイスを収録。 | 文章情報の受け取り方が変化 |
| 不具合修正 | 旧環境に残った不具合や制約を含む。 | 開発者は長く残っていた旧来バグの修正を掲げる。 | 遊びやすさに関わる運用改善 |
| 操作機器 | キーボードとDOS時代の操作を前提にする。 | コントローラー対応を追加。 | 入力手段が広がる |
| 対応環境 | Apple II、DOS、C64など当時のプラットフォーム版が存在。 | Steam版とXbox One版など現代環境で提供。 | 作品の再入手・起動環境が変わる |
| 進行感 | 文章を読み、画面外の冊子も参照する一昔前のテンポ。 | 資料を画面内で確認できる一方、古典的なRPGの進行や判断は残る。 | 導線は滑らかでも設計世代は古典寄り |
| 画像資料 | MobyGamesに掲載された初代DOS/EGA画面を使用。 | 公式ギャラリー・商品ページ・レビューのRemastered画面を使用。 | Wasteland 3の画像を排除して版を一致 |
| 総合評価 | 物理段落本と限られた画面から物語を組み立てる歴史的体験。 | その情報構造を維持しながら音声・画像・入力を現代環境へ移した版。 | 核を保ち、アクセスと提示を現代化 |
どの版が向くか
優劣ではなく、重視する体験で選ぶ
旧版を基準にしたい人
1980年代のコマンド選択型RPGとして、画面表示と物理冊子の段落を行き来する構造や、当時の情報量の少ない画面をそのまま受け止めたい人向けです。今回の比較画像はDOS/EGA版に揃えており、Apple IIやC64版の描画差とは区別しています。
後発版の変更を見たい人
初代の設定と進行を保ちながら、更新されたグラフィック・音・拡張スコア、コントローラー対応、ゲーム内の音声付きストーリーブックで遊びたい人向けです。古典RPGの情報整理やテンポが現代的なCRPGと同じになるわけではないため、操作の近代化とルールの簡略化を混同しないことが選択の助けになります。
出典・確認資料
画像と記事の確認資料を個別に対応
画像の出典表記は参照元を示すもので、権利者の許諾を示すものではありません。画像についてご連絡をいただいた場合は内容を確認し、削除・差し替えなど適切に対応します。
公開資料画像の出典
タイトル画像|Wasteland → Wasteland Remastered
goha.ru|[対象版: Wasteland Remastered] Wasteland Remastered скриншоты, фото, снимки экрана|タイトル導入用素材
画像ファイル:直接表示
資料画像 1|Wasteland
www.mobygames.com|The ever-annoying chessboard puzzle (EGA) — MobyGames|ゲーム画面例
画像ファイル:直接表示
資料画像 3|Wasteland
www.mobygames.com|Referencing a paragraph enhances the story (EGA) — MobyGames|ゲーム画面例
画像ファイル:直接表示
資料画像 4|Wasteland
www.mobygames.com|Hostage standoff with Ugly John (EGA) — MobyGames|ゲーム画面例
画像ファイル:直接表示
資料画像 5|Wasteland Remastered
www.inxile-entertainment.com|Official gallery gameplay screenshot — inXile|ゲーム画面例
画像ファイル:直接表示
資料画像 7|Wasteland Remastered
www.playground.ru|Ремастер оригинальной Wasteland выйдет на Xbox One|公開資料の画像例
画像ファイル:直接表示
仕様・歴史の確認資料
出典資料は作品情報や仕様を確認するための参照先です。資料に記載されたURLの公開状態は変わる場合があります。
Wasteland Remastered — inXile公式
www.inxile-entertainment.com|初代が1988年発売であること、Remasteredのグラフィック・音・拡張音楽、物理ストーリーブックをイラストとフルボイス付きでゲーム内へ収録したことを確認。
Wasteland Remastered — Steam公式商品情報
store.steampowered.com|2020年2月25日の発売、inXileとKrome Studios、初代のオーバーホール、コントローラー対応、バグ修正とQoL改善を確認。
Wasteland DOS screenshot: The ever-annoying chessboard puzzle (EGA) — MobyGames
www.mobygames.com|1988年DOS版『Wasteland』のEGAスクリーンショット。盤面パズルの場面として画像タイトルとゲーム名を照合。
Wasteland DOS screenshot: Hiring an NPC (EGA) — MobyGames
www.mobygames.com|DOS版のNPC雇用画面に対応するスクリーンショットとして確認。
Wasteland DOS screenshot: Referencing a paragraph (EGA) — MobyGames
www.mobygames.com|段落参照を使う初代DOS版のEGA画面として画像対応を確認。
Wasteland DOS screenshot: Hostage standoff with Ugly John (EGA) — MobyGames
www.mobygames.com|前半の4枚目が初代DOS/EGA版の人質場面であることを照合。
Wasteland Remastered review — StopGame
stopgame.ru|後半の比較画像の対象が2020年版Wasteland Remasteredであることを、レビューと掲載画像の対応で確認。
Original Wasteland remaster announcement — Playground
www.playground.ru|後発版の告知と画像出典の対応を補助確認。初代作品のリマスターである旨を確認し、Wasteland 3の記事・画像と切り分ける。
本記事の比較・考察は掲載した資料をもとに編集しています。仕様は地域や配信形態、更新時期によって異なる場合があります(2026年10月5日時点)。







